「未経験でケアマネになっても、本当にやっていけるの?」
試験合格後、実務への一歩を踏み出すのは勇気が必要ですよね。
私はケアマネとして13年、主任ケアマネとして8年、多くの新人の育成に携わってきました。
その経験から断言すると、未経験者が「厳しい」と感じるポイントには明確な共通点があるということです。
この記事では、数多くの新人を見てきた視点で、後悔しないための対策を詳しく解説します。
この記事が、あなたの不安を自信に変えるきっかけになれば幸いです。
こんな人に読んでほしい
- ケアマネが自分にもできるか知りたい
- 現場とケアマネどちらがいいか迷う
- ケアマネに転職した後に後悔したくない
ケアマネの資格をとったけど、業務に就くか転職するか迷っている人は最後まで読んでください。
ケアマネ未経験「厳しい」と言われる理由6選
ケアマネの中でも居宅ケアマネ(自宅で生活する高齢者の担当)は、特に知識が必要な分野です。

ケアマネが未経験は厳しいと言われるのは、居宅ケアマネの事です。
居宅ケアマネは利用者だけで無く、その家族への対応も大きな仕事となるからです。
ここでは居宅ケアマネがなぜ未経験だと厳しいと言われるのかを解説します。
①業務範囲が広く覚えることが多い
居宅ケアマネは一人一人の生活上の困りごとに対しての対応策を提案するのが業務です。
利用者の悩みは人それぞれで、介護保険サービス以外の提案も必要になります。
なかでも担当する地域特有の社会資源の知識、申請方法は特に利用者が知りたい内容です。
②医療・介護・制度の知識を同時に求められる
利用者さんによっては、医療・介護・制度の知識が同時に必要なことがあります。
様々な方面の知識
- 病名や既往歴、服薬内容などの医療知識
- どんな介護サービスが適切かという介護の知識
- 介護保険で使えるか、算定できるかという制度の知識
ケアマネは利用者の生活全般の背景を元に、ケアプランにまとめる力が求められます。
介護現場でも「医療は苦手」「制度は分からない」という状態は珍しくありません。
しかしケアマネになると、最初から分かっている前提で話が進むことも多く、未経験の場合特に戸惑います。

最初から完璧な知識を覚える必要はありません。
日々の対応や先輩からの助言、研修を通して、少しずつ理解を深めていきます。
③利用者・家族・事業所・行政との調整が大変

たくさんの人の間に立って支援を調整する役割をきついと感じる人がいます。
ケアマネが関わる人
- 利用者本人
- 家族
- 訪問介護やデイサービスなどの事業所
- 市町村や地域包括支援センター
ケアマネはそれぞれの意向や立場を理解したうえで、話をまとめていきます。
それぞれの立場により、方針や意見が食い違う場面は日常的に起こります。
- 誰の意見を優先すべきか分からない
- 断る・調整することに強いストレスを感じる
- クレームや感情的な訴えにどう対応すればいいか悩む
ケアマネの仕事は「想像以上に精神的にきつい」と感じる人も少なくありません。
特に介護職からケアマネになった場合、「支援する側」から「調整する側」へ役割が大きく変わります。
ケアマネは介護現場では無かったスキルを身につける必要があります。
ケアマネに必要な対人スキル
- 言葉での伝え方のコツ
- 関わり方の線引き
- 頼れる相手の見つけ方

大人スキルを身につけることで、必要以上に抱え込まず対応できるようになります。
未経験で大変だと感じるのは、「向いていないから」ではなく「まだ経験が足りないだけ」です。
④業務の流れや優先順位がわからない
資格取得の勉強では、介護保険制度や用語、ケアプランの考え方を学びます。
しかし業務の流れ、「1日、1ヶ月の仕事の流れ」までは教えてもらえません。
ケアマネ業務は、計画していても変更になることが多々あります。
- 急なサービス変更が重なる
- 予定の訪問がキャンセルになる
- 家族から突然の相談が入る
- 書類作成と現場対応が同時進行になる
といった場面は、実際に働いてみないと想像しづらいものです。
ケアマネ未経験のうちは、業務の優先順位が分からず、業務内容の整理がすぐにできないなど苦労します。
そのため身体的に無理はなくても、精神的に疲れてしまうことが多いのです。

施設相談員などの経験があっても、見える景色は大きく変わります。
現場で関わっていたときには無かった、責任の重さや判断の難しさに戸惑う人も少なくありません。
ケアマネは経験を重ねるほど成長します。
- 先を予測して動けるようになる
- 優先順位がつけられるようになる
- 気持ちの余裕が生まれる

能力不足ではなく、仕事の全体像が見えていないだけです
⑤電話対応が多いことがストレス
ケアマネの仕事はデスクワークが中心と思われがちですが、実際は1日のほとんどが電話と訪問です。
電話は担当の利用者や家族、事業所、病院、行政などで内容もさまざまです。
次々と電話連絡が入ることも多く、複数の利用者対応を同時進行で行うことも珍しくありません。
未経験ケアマネの悩み
- 突然の相談や要望にどう答えが見つからない
- その場で判断を求められる
- 解決できず勤務時間外にも頭から離れない
電話はこちらの都合に関係なくかかってくるため、書類作成中や訪問の合間に対応する事になります。

書類作成に集中したくても、電話対応で中断になることも多いです
しかし電話対応も経験を重ねることで慣れていきます。
返事に困った時の対応策
- 曖昧なことは即答しない
- 持ち帰って自分で調べる
- 管理者や先輩に相談する
未経験で電話対応にストレスを感じるのは、責任感が強く、真面目に向き合っている証拠です。
とにかく一人で抱え込まず、ゆっくり経験して慣れていけば、ストレスも徐々に感じなくなります。
⑥相談できる人がいない職場
ケアマネの仕事は、「これが正解」という明確な答えが出ない判断の連続です。
そのため慣れないうちは、自分の対応が合っているのか不安になります。
未経験のケアマネが精神的に安心して働ける職場は
- 気軽に質問できる先輩ケアマネがいる
- 管理者が困りごとについて声をかけてくれる
- 一緒に考えてくれる同僚がいる
職場内に不安なことや迷っていることを聞いてくれるスタッフがいると働きやすいです。

小さな疑問でも聞きやすい環境の職場なら安心して働けます
ケアマネは基本的に一人で担当ケースを持つため、孤独を感じやすい職種でもあります。
相談相手がいない環境では、失敗の不安や責任の重さを一人で背負いかねません。
未経験でも安心して働ける環境
- 主任ケアマネが常にフォローする
- 定期的にケース検討の場がある
- 分からないことはすぐに確認できる
未経験ケアマネがつらくなるかどうかは、能力より「相談できる環境があるかどうか」です。

転職の面接で、教育体制や相談のしやすさを確認する必要があります
【主任ケアマネが解説】未経験からなって後悔しやすい人の特徴4選
ケアマネに転職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔する人には、共通する特徴があります。
13年の実務経験の中で見てきた、ミスマッチが起きやすい4つのポイントを整理しました。
①「介護現場の感覚」が抜けきらない人
現場経験が長い人ほど陥りやすい罠です。
現場とケアマネの違い
- 現場:「困っている人をすぐ手伝う」のが正義
- ケアマネ:「自立支援」が仕事
「動ける介護職」⇨「見守る相談職」へ頭を切り替える事です。
そうする事がケアマネ本来の、ケアマネジメント業務と言えます。
② 何でも一人で抱え込みすぎてしまう人
「未経験だから迷惑をかけたくない」という責任感の強いタイプも注意が必要です。
ケアマネは医師や行政、事業者など多くの職種と連携する、チームづくりが業務です。
一人で完結する仕事ではありません。
抱え込まないポイントは、「助けてください」と素直に頼る事です。
頼る事が上手なケアマネになれば、精神的なプレッシャーに押しつぶされることもありません。
③ パソコン操作に強い苦手意識がある人
ケアマネの避けて通れない業務が、パソコンソフトを使用した「書類作成業務」です。
ケアマネは書類整理を全て専用の介護ソフトを使用します。
介護ソフトを使用する書類業務
- ケアプランの作成
- 給付管理(介護保険請求)
- 日々の経過記録
介護現場のような「体を使う仕事」ではなく、「パソコンに向かう仕事」へと業務が激変します。
PC操作自体がストレスになると、残業時間は雪だるま式に増え、日々の業務が苦痛になってしまいます。
④ スケジュール管理が苦手な人
ケアマネには決まったルーティンがありません。
毎日、毎月、業務スケジュールは自己管理します。
同時進行が多い業務
- 急な入院連絡
- 利用者からの呼び出し
- 期限が迫った書類提出
業務が一度に重なる時は、「何を最優先すべきか」を自分で判断して動くことです。
未経験からケアマネになる事が不安な人は、転職サイトへ登録して相談するのがお勧めです。
転職サイトについてはこちらの記事を参考にしてください。
40代でも遅くない!ケアマネ未経験者のための転職先ランキング&職場選びのポイント
未経験でもケアマネになるメリット4選
未経験でケアマネになるのは厳しいとよく聞きます。
しかし誰でも最初は未経験のケアマネです。
私は介護職の現場からケアマネに転職する人を応援しています。
ケアマネには現場介護職とは違う、働きやすさも大きいのです。
①身体介護がなく長く働ける
介護現場は腰や膝への負担、夜勤や不規則な勤務など、体力が必要です。
逆にケアマネの仕事は基本的に、身体的な負担が無いのが特徴です。
- 入浴や移乗など身体介護がない
- 日勤、平日勤務が中心の働き方
- 体力勝負の場面が無い
そのため年齢を重ねてもケアマネなら続けられます。
40代・50代からケアマネになり、長く現場で活躍している人も少なくありません。
未経験からのスタートでも、経験を積むほど判断力や調整力が評価されます。
年齢がハンデになりにくい点も、ケアマネの大きなメリットと言えます。

ケアマネは長期的に安定して働ける専門職です
②勤務形態が現場よりも柔軟
介護職の現場では、交代制などのシフト勤務や自分都合の休日が取りにくい職場が多いです。
生活リズムが安定しにくいと感じている人も多いのではないでしょうか。
ケアマネの勤務
- 日勤中心
- 土日祝日が休みの事業所が多い
- スケジュールが調整しやすい
ケアマネは休日が調整しやすいので、プライベートとの両立がしやすい職種です。
未経験ケアマネは覚えることが多く忙しく感じますが、徐々にコントロールできるようになります。
「今日は訪問中心」「今日は書類中心」とメリハリをつけた働き方がしやすくなります。
現場よりも柔軟な勤務形態は、未経験でケアマネになっても無理なく仕事を続けることができます。
③基本給が介護職より上がることが多い
介護職の場合、夜勤・資格の手当で収入が良いと感じている人もいますが、基本給はそれほど高くありません。
一方ケアマネの収入は基本給そのものが介護職より高く、それは賞与に影響します。
また日本の給与制度は、手当や賞与は変動しても、基本給が下がることはほぼ無いのです。
ケアマネの基本給が高い理由
- 専門職としての位置づけ
- 資格保有者であること
- チームリーダーを担う役割
そのため、夜勤が無くても月給は変わらない、むしろ増える事が多いです。

私は介護福祉士で現場勤務の時に比べ、総支給額は10万以上上がりました。
もちろん、すべての事業所で必ず給与が上がるわけではありません。
たとえ収入が同じでもケアマネの方がメリットが大きい理由
- 身体的負担が無く長期で働ける
- 勤務を自分でコントロールできる
- 事業所により担当件数のインセンティブがもらえる
未経験からのスタートでも、経験を積み、担当件数や評価が上がることで、収入アップを目指せます。
体力の心配なく働けるということは、安心できるポイントと言えるでしょう。
④経験を積むほど仕事が安定する
ケアマネの仕事は、最初の1年が特に大変です。
専門職としての知識は経験を重ねていきながら覚えますが、最初におさえるべき業務があります。
- まずは事業所の介護ソフトの扱い方
- 介護制度の申請方法
- ケアマネ業務に必要な記録
- 1ヶ月の業務の流れ
最初にこの項目を覚えていれば、後は経験しながら覚えるのです。
特にケアプラン作成やモニタリングは、一度考え方の軸ができると、毎回ゼロから悩まずに済みます。
結果、業務効率が上がって、精神的な負担も軽くなっていきます。
ケアマネは経験そのものが評価されやすいので、様々なケースを担当することで、信頼が積み重なります。

ケアマネの仕事は最初は厳しいですが、続けるほど楽になります。
誰でも最初は未経験です。経験を積み重ねていけば、収入・働き方が安定しやすいのが魅力です。
未経験ケアマネの「厳しい」を乗り越える方法3選
ケアマネ業務を早く楽にして、楽しく働く方法は、わからないことを放置しないことです。
そしてわからない事に出会ったら、自分の知識がさらに増えるチャンスだと捉えましょう。
①疑問点を積極的に聞く
ケアマネの仕事は正解が曖昧な部分が多く、「これで本当に合っているのか」と不安になる事があります。
特に未経験のうちは、疑問が出るのは当然です。

事業所にいる時に小さなことでも先輩の意見を聞くのが解決の近道です
しかし先輩ケアマネへ遠慮してしまい、疑問を後回しにしてしまう人は少なくありません。
小さな疑問を放置すると
- 判断ミスにつながる
- 自信を失いやすくなる
- 精神的なストレスが大きくなる
といった悪循環に陥りやすくなります。
大切なのは、完璧を目指すより、早めに確認して疑問を解決することです。
質問することは、「責任をもって仕事をしようとしている姿勢」で早く成長できます。
と言っても、先輩ケアマネに聞く時にはいくつかポイントがあります。
- 自分なりに考え、調べた上で質問する
- 質問を具体的に伝える
- メモを取り、同じ質問しない
といった工夫をすると相談もしやすく、先輩も教えやすくなります。
疑問点をその場で解消できるようになると、不安が減り仕事への意欲が持てます。
未経験ケアマネを早く卒業するには、積極的に聞く勇気を持つことが近道です。
②経験豊富な先輩の対応から学ぶ
未経験ケアマネは、いくら参考書を読んでも「正解」が見えにくいものです。
そんな時は、身近にいるベテラン先輩の動きを徹底的に観察してみましょう。
先輩のここを盗みましょう!
観察すべき3つのポイント
- 電話対応: 医師や事業者への話し方・伝え方
- 聞き出し方: 困難事例での利用者の本音の引き出し方
- 優先順位: 忙しい中で何から手をつけているか
「同行訪問」は学びの宝庫です。
最初のうちは、先輩の訪問に同行させてもらう機会があるはずです。
その時にただ横に座っているのではなく、「自分ならどう答えるか」を頭の中でシミュレーションしましょう。
先輩の「一言」で利用者の表情がパッと明るくなって、問題が解決する事があるはずです。
そこには必ず長年の経験に基づいたテクニックが隠されています。
主任ケアマネからのアドバイス

「先輩に同行をお願いするのは申し訳ない…」と遠慮しなくて大丈夫。
私たち主任ケアマネも、新人が「学びたい!」と目を輝かせてついてきてくれるのは、実はとても嬉しいことなんです。
③分からない事の出会いはチャンスと捉える
「分からない」「判断に迷う」という場面に何度も出会います。
そのたびに、「自分は向いていないのでは」と落ち込んでしまう人も少なくありません。
しかし分からないことに出会うのは、また新しい知識が増えるチャンスです。
- 新しい制度に触れたとき
- これまでにないケースを担当したとき
- 対応に迷う場面に出会ったとき
こそが、ケアマネとしての引き出しを増やすチャンスになります。
わからない事に出会ったら
- 調べたことは記録する
- 制度や資料を確認する
- 先輩ケアマネに相談する
新しく得た知識は、今後同じ場面に出会ったときに、速やかに対応できます。
分からないことに出会ったら、また新しい知識が増えると前向きに経験を積んでいきましょう。
【失敗しない】未経験ケアマネが選ぶ求人のチェックポイント
未経験からスタートする場合、「どの事業所に入るか」でその後のケアマネ人生が決まります。
主任ケアマネの視点から、必ず確認してほしいポイントを整理しました。
① 主任ケアマネジャーが在籍しているか
未経験者にとって最大の安心材料は、「教育のプロ(主任ケアマネ)」がいるかどうかです。
ここをチェック!
- 相談できるベテランが常に近くにいるか
- 独り立ちするまでのサポート体制があるか
一人ケアマネの事業所や、経験が浅いケアマネばかりだと、トラブルが起きた際に「詰んで」しまうリスクがあります。
② 特定事業所加算を取得しているか
「特定事業所加算」を取得している事業所は、国が定める「質の高いケアマネジメント」を行っている証明です。
取得している事業所の特徴
- 定期的な会議や研修が義務付けられている
- 24時間の連絡体制が整っている
- 困難事例へのサポート体制が整っている
ハードルは高いですが、新人を育てる仕組みやバックアップ体制が組織として整っていることが多いです。
③ 担当件数を「少なめ」からスタートさせてくれるか
いきなり35件〜40件のフル件数を持たされる職場は、未経験者にはおすすめしません。
理想的な条件
- 最初の1〜2ヶ月は数件からスタート
- 最初は先輩が同行訪問してくれる
- 業務に慣れるスピードに合わせて徐々に増やしてくれる
求人票に「未経験歓迎」とあっても、面接では「最初は月何件くらいから担当ですか?」と具体的に確認しておきましょう。
④ 事務員やサポートスタッフが配置されているか
パソコン作業や書類の整理に不安があるなら、事務員さんの有無が重要です。

事務員がいなくても、パソコン作業を教えてくれる体制は必須です。
事務員さんがいるメリット
- 給付管理の補助をしてくれる
- 電話の取り次ぎをしてくれる
- 書類の発送作業などを任せられる
ケアマネが「相談業務」に集中できる環境がある職場は、未経験者でも心の余裕を持って働くことができます。
結論:未経験ケアマネの「厳しい」はプロになるための大切な助走期間
「未経験でケアマネになるのは、やっぱり厳しいのかな……」
そう不安に思っていた方も、この記事を読んで少し視点が変わったのではないでしょうか。
確かにケアマネの仕事は覚えることが多く、最初は「厳しい」と感じる場面も多いです。
しかし、その壁を一つひとつ乗り越えていく過程で、一生モノのスキルを身につけられます。
ケアマネのスキルを磨くための大切な助走期間になると言えます。
この記事の振り返り
- 後悔しないために: 「現場感覚」から「自立支援」へ視点を切り替える
- 厳しい時の乗り越え方: 先輩の技術を盗み、周囲に頼る勇気を持つ
- 職場選びのコツ: 主任ケアマネが在籍するサポート体制のある環境を選ぶ
